平成23年12月号
平成24年度税制改正大綱 閣議決定!!
政府は12月9日、平成24年度の税制改正大綱を閣議決定しました。自動車重量税の減税などが焦点となりましたたが、ねじれ国会など厳しい政権運営を反映してか、大きな改正項目はありませんでした。相続税についても平成23年度税制改正法案に盛り込まれ廃案となった基礎控除の縮減・税率構造の見直し等の項目は、将来の税制抜本改革時へと先送りされました。なお、税制改正大綱は改正法案として年明けの通常国会に提出されますが、本年度同様、法案成立の見通しは立っていません。
今回はこの大綱のうち資産税、不動産関連を中心とした内容について確認してみたいと思います。
税額控除関係
◆住宅ローン控除 ~省エネ住宅について拡充~
(現行制度)
入居年 |
控除
期間 |
控除
率 |
年末ローン残高上限 | |
一般 |
認定長期 優良住宅 |
|||
平成24年 |
10年 |
1% |
3,000万円 |
4,000万円 |
平成25年 |
2,000万円 |
3,000万円 |
(改正内容)
認定省エネ建築物で一定のものを新築等して自己の居住の用に供した場合には、次のとおりとする。
入居年 |
控除
期間 |
控除 率 |
年末ローン残高上限 |
認定省エネルギー 建築物 |
|||
平成24年 |
10年 |
1% |
4,000万円 |
平成25年 |
3,000万円 |
◆認定長期優良住宅新築等特別税額控除~縮減~
(現行制度)
控除額(最高100万円)=標準的な費用の額×10%
(改正内容)
控除額(最高 50万円)=標準的な費用の額×10%
<平成24年1月1日~平成25年12月31日>
贈与税関係
◆住宅取得等資金の非課税制度 ~延長・拡充~
親等から住宅取得等資金の贈与を受けた場合には、次の金額まで非課税となる。
(現行制度)
贈与年 |
非課税金額 |
平成23年 |
1,000万円 |
(改正内容)
贈与年 |
非課税金額 | |||
一般住宅 ※ |
省エネ・耐震住宅※ |
東日本大震災 の被災者 |
||
平成24年 |
1,000万円 |
1,500万円 |
1,000万円
(1,500万円) |
|
平成25年 |
700万円 |
1,200万円 |
||
平成26年 |
500万円 |
1,000万円 |
※床面積が240㎡以下であるものに限る。
◆相続時精算課税制度の特例 ~延長~
(現行制度)
親から一定の住宅取得等資金の贈与を受けた場合には、親の年齢に関係なく相続時精算課税制度(控除枠2,500万円)を選択することができる。
(改正内容)
平成26年12月31日まで3年間延長
登録免許税
◆認定省エネ住宅の新築等 ~新設~
登記 |
本則 | 認定省エネ住宅 |
所有権保存登記 |
0.4% |
0.1% |
所有権移転登記 | 2% |
0.1% |
<施行日~平成26年3月31日>
◆認定長期優良住宅の新築等 ~縮減・延長~
(現行制度)
登記 |
本則 | 認定長期優良住宅 |
所有権保存登記 |
0.4% |
0.1% |
所有権移転登記 | 2% |
0.1% |
(改正内容)
登記 |
本則 |
認定長期優良住宅 |
所有権保存登記 |
0.4% |
0.2% |
所有権移転登記 |
2% |
0.2% |
<平成24年4月1日~平成26年3月31日>
不動産取得税関係
◆宅地の課税標準の特例 ~延長~
(現行制度)
宅地取得の場合の課税標準を評価額の1/2とする。
(改正内容)
平成27年3月31日まで3年間延長
◆住宅及び土地に係る標準税率の特例 ~延長~
(現行制度)
本則4% → 住宅及び土地の場合3%
(改正内容)
平成27年3月31日まで3年間延長
③住宅用土地の減額措置の特例 ~延長~
(現行制度)
土地取得から3年(本則2年)以内に住宅を新築することで、土地について減額措置を適用できる。
(改正内容)
平成26年3月31日まで2年間延長
④認定長期優良住宅の新築に係る特例 ~延長~
(現行制度)
認定長期優良住宅の新築をした場合、住宅の価格から1,300万円(本則1,200万円)が控除される。
(改正内容)
平成26年3月31日まで2年間延長
譲渡所得関係
◆特定の居住用財産の買換え特例 ~縮減・延長~
(現行制度)
所有期間が10年超、譲渡価額が次の金額以下であるなど一定の居住用土地・建物を譲渡し、一定の居住用の買換資産を取得した場合には、買換資産の価額までの金額について課税を繰り延べることができる。
譲渡価額 |
2億円以下 |
(改正内容)
平成25年12月31日まで2年間延長
譲渡価額 |
1億5000万円以下 |
◆居住用財産の買換え等の場合及び特定居住用財産の譲渡損失の損益通算・繰越控除制度 ~延長~
(現行制度)
(特定)居住用財産の譲渡損失がある場合には、一定の金額を他の所得と損益通算し、なお引ききれない金額があるときは翌年以後3年間の他の所得から控除できる。
(改正の内容)
平成25年12月31日まで2年間延長
◆特定の事業用資産の買換え ~縮減・延長~
(現行制度)
所有期間が10年超の事業用の土地等・建物等を譲渡し、新たに一定の事業用の土地等・建物等を取得した場合には、買換資産の価額までの金額について譲渡益の80%相当額の課税を繰り延べることができる。
(改正内容)
買換資産のうち土地等の範囲を、事務所等の一定の建築物等の敷地の用に供されているもののうち、その面積が300㎡以上のものに限定
固定資産税関係
◆住宅用地に係る負担調整措置 ~増税~
(現行制度)
「前年度の課税標準額」が「本年度の評価額の1/6(200㎡を超える部分は1/3)」に比較して80%以上100%未満の住宅用地は、前年度の課税標準額を据置く。
(改正内容)
住宅用地については、「前年度の課税標準額」が「本年度の評価額の1/6(200㎡を超える部分は1/3)」以下の場合には、原則として「前年度の課税標準額+本年度の課税標準額×5%」を課税標準額とする。
(ただし、平成24年・25年については、上記割合が90%以上の場合には、前年度の課税標準を据置く。)
◆新築住宅の減額措置 ~延長~
(現行制度)
課税床面積120㎡までの部分について新築から次の年数にわたって固定資産税が1/2となる。
原則 |
認定長期 優良住宅 |
|
一般住宅 |
3年間 | 5年間 |
3階建以上の
(準)耐火建築物 |
5年間 |
7年間 |
(改正内容)
2年間延長され平成26年3月31日までの間に新築された建物に適用
所得税関係
◆所得税(住民税)の給与所得控除 ~増税~
(現行制度)
給与所得=給与収入金額-給与所得控除額
給与収入金額 |
給与所得控除額 |
162.5万円以下 |
65万円 |
180万円以下 |
給与収入×40% |
360万円以下 |
給与収入×30%+18万円 |
660万円以下 |
給与収入×20%+54万円 |
1,000万円以下 |
給与収入×10%+120万円 |
1,000万円超 |
給与収入× 5%+170万円 |
(改正内容)
給与収入金額 |
給与所得控除額 |
1500万円以下 |
現行制度と同じ |
1500万円超 |
245万円 |
<平成25年分以後の所得税、平成26年分以後の住民税>
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