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相続財産承継コンサルティング|株式会社オーキス

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平成25年6月号

平成25年6月号

~税制改正で贈与税はどのように変わったか?~

平成25年度の税制改正により、平成27年1月1日以降の相続については、基礎控除の縮減などの相続税の課税強化が行われることになったのは周知のとおりです。一方で、贈与税については、全体的に負担軽減策が講じられました。高齢世代に偏在している預貯金を初めとする財産を少しでも若年世代に移転させ、経済の活性化に繋げたいという政府の思惑からでしょう。相続税対策の基本はやはり生前贈与です。今回の改正による贈与税の変更点を今一度確認してみたいと思います。

◆親や祖父母からの贈与は税額が軽減される!(暦年課税)

平成27年1月1日より贈与税の税率構造が変わり、最高税率は50%から55%に引き上げられることになります。この点では課税強化されたと言えるでしょう。しかし一方で、贈与者の違いにより税率が異なることとなり、20歳以上の者が親や祖父母などの直系尊属から贈与を受けた財産(特定贈与財産)は、それ以外の者から贈与を受けた財産(一般贈与財産)に比較して低い税率による課税が行われることになりました。
①親や祖父母から贈与を受けた財産(特定贈与財産)

課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% 0円
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

② ①以外の財産(一般贈与財産)

課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% 0円
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

仮に年間1,000万円の財産の贈与を受けた場合、通常の場合であれば贈与税額は231万円となります。
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しかし、その贈与の相手が親や祖父母である場合には贈与税額は177万円となります。
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現行制度でも231万円の贈与税が課されますので、改正によりその差額54万円分軽減され、以前よりは贈与し易くなるといえるでしょう。

 

(参考)同一年中に特定贈与財産と一般贈与財産がある場合
同一年中に親や祖父母などから贈与を受けた財産と、それ以外の者から贈与を受けた財産とがある場合には、税率が異なるため、まとめて贈与税額の計算をすることができません。そこで次のような計算を行うことになります。
(具体例)
平成27年中に、父からの贈与1,000万円と、兄からの贈与800万円がある場合
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◆相続時精算課税の対象者の拡大

贈与により財産を取得した者は、上記「暦年課税制度」に代えて、「相続時精算課税制度」を選択することができます。相続時精算課税制度を選択した場合には、贈与税の計算上、親からの贈与により取得した財産の価額から2,500万円の控除が認められ、通産で2,500万円以上の贈与を受けた場合には、その超えた額に対し20%の税率による贈与税が課されることになります。しかし、その贈与者である親が死亡した場合には、その贈与財産が相続税の課税価格に加算され相続税の課税が行われることになり、すでに課された贈与税額がある場合にはその相続税額から控除することになります。
生前贈与分も含めて、一括して相続時に相続税を課税しようとする制度で、相続まで待たなくても財産を取得できる点がメリットとなります。相続時精算課税制度は、原則として65歳以上の親から20歳以上の子(代襲相続人を含みます。)に対する贈与に限り適用することができますが、改正によりこの対象者の要件が緩和され、平成27年1月1日以降の贈与については、親の年齢が「60歳以上」、受贈者には子だけでなく「孫などの直系卑属」が含まれることとなります。

現行制度

平成27年1月1日以降

・贈与者は贈与があった年の1月1日時点で65歳以上であること

・受贈者は贈与があった年の1月1日時点で20歳以上の推定相続人(子又はその代襲相続人)であること

・贈与者は贈与があった年の1月1日時点で60歳以上であること

・受贈者は贈与があった年の1月1日時点で20歳以上の子又は孫等の直系卑属であること

◆教育資金の一括贈与が1500万円まで非課税に!

「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」が創設されました。現状でも扶養義務者相互間の教育費の贈与については、必要な都度行うことで贈与税は非課税とされていますが、平成25年度4月1日以降この制度を利用する場合には、親や祖父母など直系尊属からの教育資金の贈与については、一括贈与であっても1500万円までの金額が非課税とされることになりました。制度の詳細は「オーキス通信4月号」をご覧ください。

◆相続税対策として有効な生前贈与は?

今回の改正によっても、相続税対策としての生前贈与の基本的なスタンスは、従前の方法と大きく変わることはありません。まず、相続時精算課税制度については、制度自体が相続税を軽減させるものではありませんので、基本的には暦年単位課税による贈与を検討することになります。ただし、高額な贈与については贈与税の負担が重くなるため、比較的低税率となる贈与を複数年に渡って少しずつ行うことが有効となります。また、贈与税は受贈者単位で計算されることになるため、複数人に対して贈与を行うことも財産移転のスピードを上げるのに有効です。特に改正により、親や祖父母などの直系尊属からの贈与に対する税負担が軽減されることは、対策としてプラスになりました。
なお、非課税財産など贈与税が課税されない財産については優先的に贈与を検討することになります。
どのような方法により生前贈与するのかは、贈与する財産の種類、贈与者の財産総額、家族構成等などを考慮しながら検討する必要があります。
①「贈与税の配偶者控除」や「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等の非課税財産の贈与を行う。
③収益性のある財産を贈与することで、同時に所得の移転を図る。
③値上がりが予想される財産は低い価格のうちに贈与する。
②将来の適用される相続税率よりも贈与税率が低くなるような額の財産の贈与を複数年に渡って行う。(連年贈与とみなされないよう注意が必要)
③特定の者だけではなく、複数の者に対して贈与を行う。特に孫への贈与は財産移転を一世代飛ばす効果がある。
③相続時精算課税制度は、将来値上がりが予想される財産や、賃貸マンション・アパートなど所得移転が図れる財産の贈与を行う場合に適用を検討する。

 

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