平成26年2月号
気を付けたい新税率施行前後の消費税の取り扱い
いよいよ消費増税の時期が迫ってきました。4月1日をまたぐ取引については、旧税率5%を適用すべきか、新税率8%を適用すべきか、判断が難しいところです。工事の請負等の税率については、「平成25年9月30日までに契約を締結すれば、引渡しが施行日(4月1日)以後であっても旧税率(5%)が適用される」とする経過措置は世間一般に浸透し、注文建築やマンションなどに駆け込み需要が見受けられました。その他にもいくつかの経過措置や注意点がありますので、最後に確認しておきたいと思います。
◆3月31日までに契約しても8%に!
たとえ平成26年3月31日までに契約等を締結したとしても、資産の譲渡等が4月1日以後に行われるのであれば、経過措置が適用される場合を除き、新税率(8%)が適用されます。3月中に「建物のリフォーム契約を」「車の購入を」と目論んでも、リフォームの完了や車の納品が4月1日以後であれば結局8%となってしまいます。
◆請負金額に変更があったら?
平成25年9月30日までに契約され、経過措置により旧税率(5%)が適用される請負契約について、平成25年10月1日以後に請負金額に変更が生じた場合にはどのようになるのでしょうか。当初の請負金額から増額された場合には、その増額部分については経過措置が適用されず新税率(8%)が適用されることになります。なお、当初の請負金額から減額された場合には、その最終の請負金額の全額について旧税率(5%)が適用されます。
◆電気、ガス、水道料金はいつのものから8%か?
施行日(4月1日)を跨いだ使用量につき請求される電気、ガス、水道、電話料金等については、平成26年4月30日までの間に支払額が確定するものまでが旧税率(5%)となります。
◆不動産の賃料はいつの支払いから8%?
・経過措置の適用がない場合
不動産の賃貸借契約においては、「当月分の賃料を前月末日までに支払うものとする」と規定されているものが多く存在します。このような契約が締結されている場合には、平成26年4月分の賃料は平成26年3月末までに受領(支払い)しなければなりません。消費税が課税される賃料であれば、この4月分の賃料は、たとえ3月中に支払うことが契約で約束されていても新税率(8%)が適用されることになります。
・経過措置がある場合
平成26年4月以後の賃料であっても、旧税率(5%)が適用されることがあります。平成25年9月30日以前に締結した賃貸借契約などで、次の「①及び②」あるいは「①及び③」の要件を満たすものです。ただし、契約書を簡易に作成しているようなばあいでなければ、一般的には②や③のような定めが契約書に記載されていることが多いと思われますので、平成26年4月以後も税率5%となる賃貸借契約は限定的ではないでしょうか。
① 貸付期間及びその期間中の対価の額が定められていること。
② 賃貸人が事情の変更等により賃料の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと。
③ 契約期間中に賃貸人又は賃借人がいつでも解約の申入れをすることができる旨の定めがなく、その不動産の取得価額等と比較して期間中の賃料総額が90%以上であるように定められていること
◆消費税と住宅ローン控除
消費増税に対する経済対策として、マイホームを新築、取得等して平成26年4月1日以後に入居した場合の住宅ローン控除については、年末ローン残高の上限が4,000万円に拡充されることになりました。つまり、10年間で最大400万円の税額控除が可能となります。これに対し3月末までに入居した場合には、上限が2,000万円とされ10年間の最大控除額も200万円までです。では消費税が5%である3月31日までに新築等して4月以降に入居した場合にはどうなるでしょうか。実はこの場合でも年末ローン残高の上限は2,000万円となってしまいます。「住宅の取得等の対価の額に含まれる消費税額等が8%又は10%の税率により課されている場合」に限り、4,000万円の年末ローン残高上限が認められているためです。したがって、平成25年9月30日までに契約して経過措置により消費税5%の適用を受けるものや、もともと消費税のかからない事業者以外の個人から購入した中古物件については、たとえ4月1日以後に新築、取得等して入居しても、住宅ローン控除の年末ローン残高上限は2,000万円となってしまいます。