平成27年4月号
マイナンバーは敵か味方か?
来年2016年より政府の悲願だったマイナンバー制度が始まります。今年の10月には全国民に対してマイナンバーが通知されます。これまでも消えた年金、生活保護の不正受給といった社会保障問題や、税逃れの問題、行政の無駄などが指摘されてきました。マイナンバーの導入により行政を効率化、国民の利便性を向上させ、公平・公正な社会の実現を目指します。導入当初はその利用も限定的ですが、将来的には様々な場面での活用が期待されています。その一方で、個人情報の管理が重要視されています。マイナンバーでどんなことができるようになるのか確認してみましょう。
◆マイナンバーはどうすればもらえる?
2015年10月以降、各市区町村より住民に対して12桁の番号が記載された「通知カード」が簡易書留で送付されます。この番号がマイナンバーです。ただこの通知カードは本人確認には使えず、利用の場面では別途運転免証などの提示が必要となってしまいます。
そこで「個人番号カード」を申請します。同封されている申請書に顔写真を張って申請すると、写真とICチップ入りのカードが発行されます。この「個人番号カード」があれば1枚で本人確認までできることになります。
◆マイナンバーで何ができる?
マイナンバーは「社会保障」「税」「災害対策」の3分野の行政手続きで利用されます。国民は年金・雇用保険・医療保険の手続き、生活保護・児童手当その他福祉の給付、確定申告などの税の手続きなどでマイナンバーを記載しなければなりません。その代わり添付書類が不要になるなど手続きが簡素化され、負担が軽減されます。行政機関が持っている自分の情報を確認したり、行政機関から様々なサービスのお知らせを受け取ったりできるようにもなります。
-スケジュール(予定)-
2015年10月 | <マイナンバーの通知> |
2016年1月 | <税務・雇用保険・国民健康保険の手続き>マイナンバーの記載義務。 <子ども版NISA>口座開設手続きが簡便に。 <年金記録の照会> |
2017年1月 | <健康保険・厚生年金保険の手続き>マイナンバーの記載義務。 <マイポータルの開設>税金・保険料の確認、電子決済、各種証明書が送付される電子私書箱の設置、引越時のライフライン・金融機関等の一括住所変更、行政、企業等のマイナンバー情報へのアクセス記録の確認などが可能に。 |
2018年1月 | <銀行口座へのマイナンバー登録>任意 <カルテや診療報酬明細書の管理>患者の情報を各病院で共有、無駄な検査・投薬の削減。 <戸籍の提出が不要に>婚姻、相続、パスポート申請などの場面で戸籍謄本の提出が不要に。 |
2021年1月 | <銀行口座へのマイナンバー登録>義務化?他の金融商品との一体課税、損益通算が可能に。 |
◆将来的にはこんな利用法も
市区町村には条例を定めることで個人番号カードの独自の活用が認められています。例えば、印鑑証明や住民票の取得、図書館の利用カードとしての機能を付随することもできます。また、一般企業の利用も検討されていて、個人番号カードにクレジットカードやキャッシュカード、電子マネーなどの機能が搭載される可能性もあります。
個人番号カードとスマートフォンがあれば、すべての手続きや取引が完了するような時代が来るかもしれません。
◆個人情報は守られるか
懸念される問題は大きく分けて3つ。1つは情報漏洩です。最近は企業による情報漏洩に対する世間の目が厳しいですが、特にマイナンバーについては厳格な管理が要求され、個人情報を漏らした従業員などに対しては厳しい罰則規定が設けられます。本人確認のため個人番号カードを提示する際には、マイナンバーが記載されている裏面をコピーされないようにするなどの注意が必要です。もう1つは成りすましの問題です。他人にマイナンバーを不正に取得され悪用される可能性があります。盗難・紛失の際はすぐに再発行の手続きをしましょう。そして最後の懸念は税務署など国に個人情報を一元管理される恐れがあることです。残念ながらこれは防ぎようがありません。個人の所得と資産が国に把握され、所得隠しや資産隠しが淘汰されます。正攻法でいかに効率的な節税対策を行うかが重要です。
なお、マイナンバーは個人だけでなく企業にも割り振られますが、企業のマイナンバーは一般に公開され誰でも利用できることになっています。