平成26年9月号
節税しながらお得に老後に備えよう!
現在、法人減税が盛んに議論されていますが、個人にかかる税金は消費税や相続税はもとより、所得税についても当面減税されることはなさそうです。そんな中、少しでも税負担を軽減したいのは皆同じ。そこで今回は公的な制度を利用した節税方法として「小規模企業共済」と「確定拠出年金」の2つを紹介いたします。加入資格がある方は検討する価値が十分にあるのではないでしょうか。
◆小規模企業共済
小規模企業共済は、小規模企業の個人事業主や会社役員がリタイアした際にまとまった現金を受け取ることができるよう、現役の間にあらかじめ積み立てておく共済制度です。小規模企業者の退職後の生活安定を図ることを目的とし、優遇措置を設けて加入を奨励しています。運営は独立行政法人中小企業基盤整備機構です。
メリット |
実質的に国の機関である独立行政法人が運営していますので民間団体に比べてリスクも少なく、税務的にも以下の様なメリットがあります。
① 支払った掛金は所得税額や住民税額の計算上、全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象となります。
(例) 課税所得1,000万円の人が毎月7万円(年84万円)の掛金を支払った場合 |
軽減額が利益と考えると、利回りは年43.693%となります。こんなに安全で高利回りの投資商品はないですね。
② 将来受け取る共済金は「退職所得」(年金の場合は「雑所得(公的年金等)」)扱いになります。
(例) 30年間の勤務中、年84万円の掛金を20年間支払い(総額1680万円)リタイアした場合 |
退職所得の税金は、勤続年数に応じた退職所得控除額を控除でき、その控除後の金額の2分の1に税率を乗じて計算しますので、負担が非常に少なくなります。また、共済金を分割で受け取る場合には、公的年金等として取り扱われ、雑所得の計算上公的年金等控除額を控除でき、やはり税負担が少なくなります。
なお、廃業や会社の解散、死亡による退任などの場合には、共済金の額が大きくなります。
加入資格 |
常時使用する従業員の数が20人以下(卸売業・小売業・一定のサービス業については5人以下)の個人事業主または会社の役員でなければなりません。
掛金 |
月額1,000円~70,000円の範囲で設定できます。
デメリット |
掛金の支払期間が20年未満の場合に受け取る解約手当金は、原則として元本割れしてしまいます。
◆確定拠出年金(日本版401k)
確定拠出年金は、支払った掛金を加入者自身が運用し、将来その運用で貯めた資金から年金を受け取る制度です。国民年金や厚生年金の上乗せとして位置づけられています。運営管理は証券会社や銀行などが行っています。
メリット |
以下の様な税務上のメリットがあります
① 支払った掛金は所得税額や住民税額の計算上、全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象となります。
したがって、その節税効果は小規模企業共済と同様です。
② 運用益が非課税となります。
預金や投資信託などは、運用益に対して20.315%の税金が通常かかりますが、401kは課税されません。複利で運用されることになりますので、考え方によっては話題のNISAよりも効果は大きいです。
③ 将来受け取る共済金は「雑所得(公的年金等)」(一時金の場合は「退職所得」)扱いになります。
こちらもその節税効果は小規模企業共済と同様です。
加入資格 |
60歳未満の国民年金、厚生年金の被保険者です。
掛金 |
個人型は月額23,000円、企業型は月額51,000円が掛金の限度額とされています。
デメリット |
選ぶ商品によっては元本割れの可能性があり、60歳までは解約できません。(掛金の額の変更することはできます。)なお、一般的には月に数百円程度の手数料がかかりますが、これは節税メリットが補って余りあると考えられます。